最判令和2年7月2日について、月刊『税理』10月号に投稿しました。
事例研究「破産手続きにおける債務の確定と前期損益修正をめぐる問題~結局、問題は解決されないクラヴィス最高裁判決~」というテーマで、月間『税理』10月号に寄稿いたしました。本件は、利息制限法の上限利率を超えるいわゆるグレーゾーン金利が無効である旨を判示した最高裁判決を受け経営破綻した貸金業者クラヴィスの破産管財人が、国に対し、過年度に納付した法人税の還付を求めた事案です。第一審大阪地裁は、類似事件である旧武富士事件と同様、前期損益修正の処理が公正処理基準(法人税法22④)に当たると判示して、過年度に遡って益金の額を減額することを認めませんでしたが、控訴審である大阪高裁は一転、破産会社には継続企業の公準が適用されないとして、過年度に遡って修正する処理を認めるという従前とは異なる判断を示しました。高裁で敗訴した国側は上告したため、最高裁がどのような判断をするか注目が集まっていたところ、本年7月2日、最高裁第一小法廷は、控訴審判決を破棄し、第一審の地裁判決同様の判断を示したことで、国側逆転勝訴の結果となりました。しかしながら、最高裁の示した結論では、破産会社は救済されないばかりか、判示内容も議論が十分尽くされたものとはいえず、過年度修正処理に係る問題点を先送りにした印象は否めません。本稿は、最高裁判決が抱える問題点について、会計公準論の前提から考察し問題提起しています。
霞さん
大学院の図書室でこの記事を発見しました。
ぜひ拝読させていただきます。
貴信拝受。私は本件高裁判決を高く評価しており、最判が出たときは「初めから結論ありき」の印象で大変驚いた次第です。裁判所の最終判断である以上、もう少し突っ込んだ議論が欲しかったとの思いから執筆に至りました。内容について是非コメントいただければと思います。霞 拝