フランス老齢年金申請マニュアル(申請者の立場から)

ベルギー退職年金受給マニュアルに引き続き、フランス老齢年金申請マニュアルをアップします(仏白で年金の名称が異なりますが実質は同じと考えます)。ベルギーと異なり、フランスの老齢年金は満60歳から受給することができます。本Web管理者はベルギー退職年金に合わせて65歳に達した段階で受給申請手続きを行いました。このことが、後々どのような影響を及ぼすかは予断を許しませんが、何らかの事象が認められた場合には、別途報告させていただきます。フランス老齢年金の受給申請手続きは、ベルギー退職年金の申請に比べ、ややハードルが高いと感じております(その詳細は下記で具体的に記します)。本稿は、今後フランス老齢年金の受給を申請する方々のご参考となるべく記載しておりますが、管理者自身、申請書類を提出した直後であり、未だ受給には至っていない点ご留意いただければ幸いです(以下の記載は現段階では未だ成功例ではないということになります)。

1.フランス退職年金受給資格対象者

2007年6月1日の日仏社会保障協定発効前にフランスに赴任し、我が国とフランスの双方の社会保障制度に加入し、いわゆる社会保険料を二重払いしていた方が対象です。

2.フランス退職年金申請書の入手

フランス退職年金(申請は遺族年金も含みますが、以下の記載は全て退職年金を前提としております)受給申請の日本側窓口は、居住地の年金事務所となります。申請書類は日本年金機構のHP<>にありますが、各書類等(PDF)のリンクを貼っておきますので各自ダウンロードしてご利用ください。①フランスの機関が審査する老齢年金または遺族年金の請求書/被保険者の職歴に関する情報、②記入要領

協約相手国別の注意事項はこちら<> なお、各年金事務所は、単なる申請窓口なので、申請書の記載方法や添付書類の内容について問い合わせても、何も回答してくれません。

3. フランス老齢年金申請書の記載上の注意事項

①「フランスの機関が審査する老齢年金または遺族年金の請求書 F/J1(以下、「請求書」)」2.8 フランスの社会保障番号

フランス赴任時に各自に付与された社会保障番号です。これは、赴任時の給与明細(BULLETIN DE PAIE)には必ず記載されていますし、仏社会保障局から定期的に発行される「CARTE D’ASSURE SOCIAL」に「N D’IMMATRICULATION DE L’ASSURE」として記載されている全15桁の数字となります。参考までに、管理者保管の同書類はこちら(管理者保管の書類)。いずれも手許にない場合は、フランスの赴任先へお問い合わせください。なお、申請者の配偶者のフランスの社会保障番号記入欄もあります(「請求書」5.8)。管理者の場合、配偶者に社会保障番号が付与されていた記憶がないのと、書類も残っていないため、項目5.8は空欄としました。

②「請求書」8。申請者による支払方法の選択

下記。「4.添付書類」を参照ください。

③「被保険者の職歴に関する情報 F/J4(以下、「情報」)」2.フランスその他日本以外の国で得た保険期間についての情報

国際社会保障実務集団著「社会保障協定の申請・届出実務マニュアル」(日本法令・平成19年)によれば、同項目の記載例(596頁)において、日本の厚生年金加入期間についての記載もされていますが、同項目の日本語タイトル「フランスその他日本以外の国で得た保険期間についての情報」の文理及び仏語の「en France et dans tout autre Etat en dehors du Japon」から、日本での保険期間の記入は必要ないと考えます。管理者は、フランスでの赴任期間の他、ベルギーでの赴任期間(同国の社会保障制度に強制加入していた期間)があったので、それについても記載しました。なお、この職歴の項目については、 「4.添付書類」で必要書類の添付が要求されています。

4.添付書類

①「請求書」に添付する書類

上記の記載要領の最後(11頁)に、「請求書に添付する書類」が5種類あり、この準備にある程度の手間がかかると思います。以下順に要点を述べたいと思います。

(1)SWIFTコードを記した銀行口座証明書:日本はIBANに加盟していないため、SWIFTコードは必須となります。銀行に問い合わせれば、同行のSWIFTコードは教えてくれますが、将来年金が振り込まれる銀行口座であり、証明書(releve)というからには、番号を伝えるだけでは不十分と考えます。銀行に問い合わせたら、口座番号及びSWIFTコードを記した「取引証明」なら英文で出せるといわれたので、それを依頼しました。ただし、発行依頼から実際の入手まで11日間を要したので、フランス年金申請には最初に取り掛かる必要があります。

(2)国籍・身分証明書又は請求者の生年月日についての証明書又は戸籍抄本:ここでは「戸籍抄本」とありますが、管理者は、「請求書7.申請者の子」で扶養親族を記載したため、抄本でなく全部事項証明として戸籍謄本を添付しました。

(3)課税通知書のコピー:未納付の納税債務がないことの証明と思われますので、確定申告している場合は、居住地の所轄税務署にお問い合わせください。管理者はe-taxにて申請の翌日に納税証明書を入手いたしました。

②「情報」に添付する書類

「情報」 の最後のページに職歴に関するものとして、「それぞれの期間についてそれを裏付ける書類(給与明細書、雇用証明書、保険料請求書)のコピーを添付してください」との記載があります。フランス年金の申請において、これらの書類の収集が最もハードルが高いと思われます。申請者の手許に赴任期間全ての給与明細があればそれを添付すれば足りると思われますが、数年前、数十年前の書類であり、それらを全てそろえるのは非常に困難な場合も予想されます。取り敢えず、手許にあるものだけで申請するのも次善の策かと思われます。

5.年金事務所への提出

管理者の場合、用意できる書類のみを持参し、過日、年金事務所を訪問し、書類を提出いたしました。既に述べたように、年金事務所側は申請の詳細は分からないので、「書類を受け取るのみ」という姿勢でした。なお、受領書の類は基本的に出さないということでしたが、申請書表紙のコピーに受付印を押したものは出せるとのことでしたので、それを頂きました(他の年金事務所で同様の対応をされるかどうかは分かりません。)

以上、フランス年金の申請を行う皆様のお役に立てれば幸いです。ご不明な点がありましたらお問い合わせください。

(文責)公認会計士・税理士 霞 晴久

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